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ぎっくり腰は動かす?

2020/09/15
整骨院コラム

■ぎっくり腰になったら、どんな動きで痛くなるの?

ぎっくり腰(急性腰痛)になると、動きの中で突然起きる腰痛により、動けなくなることがあります。治療法はさまざまですので、今回は代表的な治療法について紹介します。

 

まずぎっくり腰はどのような病気か説明します。背骨には、筋肉や椎間板、靭帯、筋膜などさまざまな組織があり、それらのどこかに障害が出た時に現れるとされているのが、ぎっくり腰です。アメリカでは、腰痛を持っている人は全体の1520%とも言われており、さらに45歳以下の人で仕事ができなくなる理由のひとつとして腰痛が最も多いことが知られています。日本でもぎっくり腰による就業不能者が多くいることから、近年その痛みの原因や治療法が注目されています。

 

ぎっくり腰の多くは、重いものを持とうとして体を前にかがめたり、腰をひねったりした場合に生じます。重いものを持とうと体を前にかがめようとすると、前に倒れないように背中の筋肉や靭帯で体を止めようとします。その時、急に筋肉が収縮したり、神経が引っ張られることでぎっくり腰になります。もちろん、ふとした瞬間でも起きうるもので、例えば、洗面台で歯磨きを取ろうと少しお辞儀をしたような姿勢になった場合、トイレで立とうとした場合、靴を履こうとした時、伸びをした時、ヨガをしている時など、ぎっくり腰が起きた時のエピソードはさまざまです。

 

もし、ぎっくり腰になったらまず何をすれば良いのでしょうか?

 

■ぎっくり腰は安静にすると良くなるの?

ひと昔前までは、ぎっくり腰になったら痛みが完全に治るまでずっと安静にしていなさい、ということが言われていました。しかし近年の研究から、「科学的根拠に基づいた腰痛診療のガイドラインの策定に関する研究」では以下のような記載があります。

 

下肢痛の有無に関わらず、急性または再発性腰痛に対して、27日の安静臥床は、プラセボあるいは通常活動よりも悪化させる。安静臥床は、代替治療よりも有効ではない

長期安静臥床は、衰弱、腰痛の慢性化、リハビリの支障につながることがある

これはつまり、「痛い時はベッドの上で安静にする」というのは、より悪化させる可能性があるため、どうしても動けない場合を除いて、徐々にでも動いた方が良いことを示しています。この理由としては、安静に寝ていると、どうしても筋力が低下すること、関節の柔軟性が低下すること、それに伴う神経のシステムが悪化することが考えられます。

 

過去の研究においては、「通常の活動を継続してください」というアドバイスによって、「痛み次第で活動してください」というアドバイスよりも、症状が改善するまでの期間、腰痛の慢性化にとってより良い効果を示すとも言われています。

 

■温めるか冷やすかそれとも……?ぎっくり腰の治療法について解説

それでは、ぎっくり腰になったら、どのような対象法・治療法が有効なのでしょうか? 腰痛になると必ずと言って良いほど出てくる、「温めるか、冷やすか」ですが、急性腰痛症においては、どちらも効果に関する明確な根拠はありません。炎症があるうちは冷やした方が良いという考えがありますが、今のところ、はっきりと「どちらが良い」と言えない現状があります。 ぎっくり腰に関するその他の治療法について、以下に説明します。

 

●運動療法

ぎっくり腰に対して、どのような運動が効果があるかといったことは明らかになっていません。特定の方法(マッケンジー法と呼ばれるものなど)では、ぎっくり腰を改善するかもしれないという研究は、報告されています。

●マニピュレーション

マニピュレーションとは、筋肉や関節を治療するために行われる治療手技のことです。

ぎっくり腰を発症してから6週間以内に行うと短期的に腰痛が改善するといわれています。

●物理療法

物理療法は、物理的な刺激によって体に対して生理的な効果(例えば、温める、冷やす、など)を与える方法です。

温熱効果のある超音波療法、牽引療法、マッサージ、電気刺激について有効であるという明確な根拠はありませんが、電気刺激に関しては、個々の研究で効果があるかもしれないという結果が報告されています。


このように、ぎっくり腰の治療として有効性が示されているものは、マニピュレーションおよび薬ということになります。しかし、マニピュレーションは、手技を行う医療者によっても効果が異なる可能性があるため、現状では薬を用いた治療がぎっくり腰の痛みの軽減には良さそうです。ぎっくり腰の対処法、治療法はさまざまですが、その有効性は検証段階にあります。そのため、ぎっくり腰を予防するという視点も非常に重要です。

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